今回は、割と硬めの話題を一つ取り上げます。私のいつものブログ内容とは、趣が異なりますが、若干この手の話題を勉強しているもので私なりに記事を書いてこうと思いました。(もし、記事中の解説で間違った点などがございましたら、コメント欄などでご指摘頂けますとありがたいです。。)
今回は、タイトルの通り日産のゴーン会長が逮捕される見通しとの事です。タイトルは少々過激ですが、日産などの関係会社に投資されていた方などは、大変騙された思いでしょうし、あってはならない事だと思います。ゴーンさんが会長を務める日産自体は、種々の問題を乗り越えて、色々な改善なども見える最中、トップがこういう行為をすること自体、信じられません。個人的には、残念な思いが強いです。
今回は、そういうことで、日産ゴーン会長が過少申告の理由となぜそれが発覚したかを書いていこうと思います。
日産ゴーン会長はなぜ逮捕されるのか?
まずは、ゴーン会長がなぜ、逮捕されるのかというところに言及したいと思います。

今回、ゴーン会長にかけられている容疑は、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)です。
有価証券報告書に自らの報酬を過少に申告した疑いがあるとされています。その過少申告した金額は数十億単位と報道されているようで、金額的にも相当な額をごまかしていたことになります。下の記事が本当であれば、大変な額ですね。本当に笑うしかないです。そもそももらいすぎという問題ではないかと個人的には思うのですが、それはおいといて過少申告したその額が目を疑うような内容です。
11年3月期~15年3月期の各連結会計年度のゴーン氏の報酬額が計約99億9800万円だったのに、計約49億8700万円と記載した虚偽の有価証券報告書を提出したとしている。
出典:毎日新聞 <日産会長逮捕>ゴーン会長、報酬50億円過少申告の疑い
ここまで読んでいる方で気になる箇所かと思いますのが、先ほどからチラチラと出ている有価証券報告書という単語だと思います。
これは、専門的な説明では以下のような内容です。
有価証券を発行している企業が自社の情報を開示するために作成する報告書。金融商品取引法により作成・提出が義務づけられている。有価証券の公正な取引や投資家の保護を目的とするもので、事業年度終了後3か月以内に金融庁に提出する。企業の概要・事業の状況・株式の状況・財務諸表などが記載されている。有報。
上の内容をかなり端的に色々なものを端折って言うと、
簿記をされた事がある方は、一度は見たことがある、貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)のような書類とイメージして差し支えないかと考えます。
今回の事案では、株主などの投資の判断基準になる最も重要な書類(有価証券報告書)に虚偽の報告をしたということで、その疑いでゴーン会長の逮捕に発展しています。
しかもその虚偽が、自らの報酬にかかるという点が今回の事案の最も悪質(と断罪していいと思います)な所だと感じています。
この有価証券報告書の虚偽報告、それ自体もあってはならない事ですが、会社の業績をよく見せるめに売り上げをカサ増しさせるような報告、いわゆる粉飾決済は(もちろんこれもあってはならない事です。ただ、それが会社の存続をかけて、止むに止まれぬ状況でそうしないともうどうしようもないような場合は)心情的には、同情出来る点はあります。
ただし、今回の事例では、ゴーン会長の役員報酬(社長などの役員がもらう給与の事を言います。)を実際の金額よりも少なくもらったように報告しているのです。
これは、次項でも説明しようと思いますが、自分自身の報酬を少なくもらっているように見せて、個人の所得税を安く済ませようという意図がはっきりと見えます。
そして、本人の報酬が少なく申告しているのであれば、有価証券報告書を提出した法人(会社)は、その報告書の中では、利益がその分出ているはずです。本来は、利益は出ていないはずなのに、有価証券報告書では、役員報酬が低く申告されているから法人では、利益が出ているように計算されて、会社が払う法人税という税金は多く払わなければなりません。
「自分の懐には多く、会社のお金は出て行っても構わない。」そう言っているのと同じです。今回有価証券報告書を提出した法人で働く従業員は納得がいくはずがないです。
このように今回のゴーン会長は、有価証券報告書に虚偽の記載(自分自身の報酬を少なくして)をして逮捕されるに至っています。
ちなみに東京地検特捜部は、政治家がらみの汚職などでよく耳にする組織で、下のWikipediaでも紹介されているように日本のトップの捜査機関です。大組織ですが、一会長(個人)の立場でこの組織が捜査を行なっているという時点で、事件の重大性が表れているような気がします。
東京地検特捜部は政治家汚職、脱税、経済事件などを独自に捜査し、大物政治家の立件・有罪などの結果を出していることから、「日本最強の捜査機関」とも呼ばれている。
報酬過少申告の理由は?
さて、ここでは、ゴーン会長がなぜ報酬を過小申告したかを考えてみたいと思います。
答えはすでに出ているかもしれないのですが、自分の所得を少なく見せるためという単純な理由が考えられると思います。(※これは個人的な見解ですので、今のところ、真意は不明です)
日本の所得税は、ヨーロッパなどの諸外国と比べてもそんなに高くはないと言われていますが、所得に応じて税金が増える累進課税制度という制度が導入されています。下の図からも分かるように所得が4,000万円を越えると税金でおよそ半分が持って行かれるという税金の制度になっています。
確かに所得税の税率を見たら高いのですが、ゴーン会長は、日産以外にも三菱で以下の額をもらっていますし、過去には、役員報酬の1年間の総額で10億以上の時もあったと記憶しています。仮に社会保険料(社会保険料は、給与の約15%と考えてます。)やら税金(住民税が所得の約10%くらいと考えています)やらで多く見積もって70%くらいもっていかれても十分すぎる分が手元に残ると思います。
三菱自動車は22日、2018年3月期の有価証券報告書で、カルロス・ゴーン会長の役員報酬が総額で2億2700万円だったと開示した
ただ、これを書いていて冷静に考えたらおよそ70%持って行かれるのは確かにかなりの金額を持って行かれるなと思いましたが・・・(これはこれで、別の議論にもなりそうですが)
仮に1年間で10億円の役員報酬があったとしても、7億円(これはかなりアバウトな計算ですので、ご了承ください)は、税金やら社会保険料で持って行かれると考えると過小申告したくなる気持ちは分からなくもないですが、それでも十分すぎる額は自分の自由なお金として使えるので、やはり絶対にやってはならないことだと思います。
と言うことで、ゴーン会長が自身の報酬を過少申告をした理由は、自分の所得を少なく見せるためなのかなと考えてみました。
あとは、考えうる事としては、過少申告ですることでその会社には、利益が出ているように見えるので、会社の業績をよく見せたいからという理由なども考えられます。真意は定かではないですが・・・まあ、それは、ないですかね。
日産ゴーン会長の報酬過少申告はなぜ発覚したのか?
ゴーン社長の今回の報酬過小申告ですが、なぜ発覚したのでしょうか?

ゴーン会長ですが、日産以外にも三菱の会長で、そこからも役員報酬が発生しています。また、他にもまだ色々な肩書きで役員の地位を保持していたかもしれません。今回どの会社で報酬の過小申告をしていたかは明らかになっていないのですが、いずれも有価証券報告書にて公表している点がミソかなと思います。
上場企業の場合、今回何度も出てきている有価証券報告書など会社の状況が数字でわかる報告書を誰でも見れるように公表する義務があります。その中に、役員の報酬という項目で、役員(社長や会長などいわゆるお偉いさん)の役員報酬が掲載されています。例えば、日産も自社HPにて有価証券報告書は公表しています。そして、ゴーン会長の報酬も明記されています。
ということは、表記上は、ゴーン会長の手取り額がいくらになるかは捜査機関はだいたい計算する事ができます。なので、それに応じた金銭がゴーン会長の手元にあると予想されますので、それ以上のお金がゴーン会長の手元にありそうだという事が何かしらの理由で分かれば、捜査に発展する可能性があるかと思います。
有価証券に乗っている額以上に手元にありそうだということは、事情をよく知る人の告発があった可能性も考えられますし、そもそも収入が多額な方は、一般的には捜査の対象にもなりやすいので、日頃からどういう生活をしているか、どこにどのようにお金を使っているかは問題のない範囲で何らかの捜査あったのかもしれません。
さらに、今は、銀行とマイナンバーの紐付けが始まりました。これで、個人の銀行における資産の額が補足されていた可能性もあります。つまり、ゴーン会長の手取り額以上に振込があった場合、それが一体どこから発生した振込かは、その発生した場所を特定して、それが、ゴーン会長が役員報酬をもらっている会社から振り込まれているものであれば、有価証券報告書で報告された以上の報酬額をもらっている事が発覚することになります。
また、処罰として、過少申告の場合は、修正申告や追徴課税などが多くすぐに逮捕とは結びつかないケースが多いような気がします。そんな中で、一発逮捕ということは、多額な過少申告額が原因か、過少申告の方法が、相当悪質だったのかもしれません。
以下、追記
日産は声明を発表しており、やはり内部通報があったそうです。それを元に、数カ月間かけて調査をした結果、ゴーン会長自身の報酬額を少なくするため、長年、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたとの事です。
やっぱり、自分の懐を温める為だったのか。。。
まとめ
というところで、思いつくままにまとまりなくここまで、書いてきましたが、拙い文章の中、ご覧頂く方がいらっしゃいましたら、ありがとうございます。
今回は、ゴーン会長の逮捕に関して、有価証券報告書の報酬過小の理由や今回の事件の発覚についての話題を書いてみましたがいかがでしたでしょうか?
世界的な大企業の会長の逮捕という個人的にはかなり衝撃を受けたニュースの内容でした。
まだ、詳細な内容の発表はない中で、今リリースされているニュース内容を消化してまとめてみましたが、専門的な理解が中途半端だったりしている点もあるかもしれません。何か、お気付きの点や、この事件に関するご意見などがあればお気軽に頂けますと幸いです。
今回の事件は、ゴーン会長が単独やっていたことかどうかは気になるところですが、多くの従業員には、この事件とはほとんど無関係な話だと思います。むしろゴーン会長は過去に従業員の賃金カット等々、徹底的なコストカッターとしての手腕が評価されていました。その裏で自分自身は、報酬を多額にもらっておきながら、過小に申告して偽りの報告をしていたのです。私は日産などの関係会社の従業員でもなんでもないのですが、ゴーンさんがした事は本当に腹立たしい事件です。だからこそ、ゴーン会長には徹底的な捜査と責任追求を強く望みたいと感じています。
利益を独り占めしたってこと?
極ごく端的に言えば、利益独り占めという見方も出来ると思います。
本来会社に残ったお金(=利益)を秘密裏に抜いて私的に使っていたので、「利益を自分の意のままに使えた状態にはにあった」と言えると思います。